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私は2人にゆっくりと説明をした。

私がツクヨミのもとへ行った意図。
そしてそこで見た、私と冬斗の過去。


なにより、冬斗がまだ神でないことを告げ、冬斗が神にならない限りスサノオに勝つことは難しいということ。



「…あたしたちは元彰に言われたの。冬斗が消えたって」


「屋敷中を捜索してみたら、冬斗だけじゃなくお前までいない。
まあ秋奈は手紙があったからまだ安心してたけど。
それに元彰が絶対大丈夫だって言ってたしな」




そうか、元彰…

私は彼に対しても謝らなければならないことがたくさんある。





「秋奈様」



タイミングよく現れたのは、何を隠そう元彰だった。



「お帰りなさっていたのですね」


「…いろいろありがとう、本当に」


「いいえ…

…答えは、予想外の形で帰ってきたようですね」


「…もしかして知っていたのですか」


「私の主は冬斗さまです。
主の秘密を知っていても、だれにも言うわけにはいかなかった。
秋奈さまも自分の答えを知りたかった。

利害の一致と勝手に判断させてもらいました」


「私はまんまと利用されたってことね。

でもありがとう。あなたのおかげでこのことに気づけた…
…元彰、あなたも冬斗の行方は…」


「…存じ上げません。
ただ一つ確信があるのは、やはり冬斗さまは黒姫さまとともにおられるということです」




黒姫様。

腰まで伸びた長い黒髪に、対照的な白い着物。
少し幼さがあったような気もするが、妖艶さは私を引き付けた。