いやだ。

私が冬夜と出会った時のことを思い出した。


優しくて朗らかで、本当に少しの間しか話さなかったけれど、とてもいいひとだった。


けど、私が多く接してきたのは冬夜じゃない。冬斗だ。



「…最低すぎる、わたし」



本当に最低だ。
だって私、冬斗を失いたくないと思ってる。冬夜を捧げればいいとか思ってる。




『秋奈、頼って。俺に。

秋奈は罪人なんかじゃない。
…自分を、責めないで』



そう言って乱れてた私の着物をそっと直してくれたのは、冬斗だった。




考えたくなくても、考えてしまうのだ。

どうやったら、どうしたら冬斗がそばにいてくれるのか。




『白はいつだって、黒に光を刺してくれる、希望の色だ』




私の罪を認めてくれた。
私がここにいる理由を認めてくれた冬斗を、手放したくない。