「…分かりました。

私、冬斗と…いや、みんなと話し合ってみます」



「ああ、そうするべきだ。

…もっと早く、するべきだった」




「あと一つだけ。

あの、冬夜という人格を代償としてささげることもこれは可能ってことなんですか?」


「まあ、この代償自体形だけのようなものだからな。黒姫が、冬夜の人格自体が人の命だと認識したのならそれで構わない。

それに人格というのは冬斗とは全く別人ということだから、命を持っていると言っても過言でもない気がするけどな」



なるほど。

私はやるべき事を頭の中で再確認しながらうなずいた。



「…私はそろそろ帰らせていただきます。

あの…本当にありがとうございました」


「礼を言われる筋合いはない。黒姫が、あいつが封印した記憶を無理矢理開きお前に辛い思いをさせたのは僕だ。

それにきっと、これを知った姉さんは怒るだろう。姉さんさなぜか冬斗に冬夜の人格を捧げさせるのを避けるからな」



「…それでも、冬を取り戻す方法がこれしかないと知ってのことなら。
あなたは本当に、好きなんですね。季節が」



「…別にそうゆう訳では無い。ただ…


…姉さんがこれ以上、スサノオに振り回され嘆くのを見たくなかった」



「…優しいんですね。本当に」



では失礼します、と私はその部屋を出た。

薄暗い廊下を1人歩く。もう夜があけたのか、朝のひんやりとした空気が肌をさす。