生神さまっ!

「……こんばんは、


秋奈」






彼は笑う。

自嘲するように。諦めたように。あーあ、とでも言いたげに。




かしゃん、と金属の音が夜空に響く。

その金属音は、彼から発していると気付くのに…そう時間はかからなかった。




「とう、や…?」




夜空と同じ闇色の髪を無造作にさせている彼は、屋上の柵の元に立っていた。



いや、"立たされていた"




「…見られちゃったか」




彼の首と腕と足首に繋がれた、闇色の枷(カセ)。

それは屋上の柵に繋がれていた。




そう、彼は笑いながら立っていたのだ。

動きを枷で封じられ、ムリヤリ屋上に立たされていたのだ。





「…俺の名前はね、」





彼が唐突に言う。

その声に、震えも何もなかった。









「…冬斗」





彼の体の所々から流れる赤い赤い血さえも、その寒さを知らないようだった。



彼の笑顔は、あまりに美しすぎて。



…恐ろしくなってしまうほどだった。