「バレたらしいわよ」





久しぶりに会った彼女が言った。




俺はその言葉に、驚きを隠せなかった。






「だ、れに…?」



乾いた口で、どうにか言葉を紡ぐ。

唾が出てこない口は、気持ちが悪い。





「…秋の子。

ツクヨミが言ったのよ」



…秋の、子。

秋奈が…ツクヨミから?







真面目な彼女が会いにくるなんて、何事かと思ったけど…まさかここまでとは思わなかった。


なにをすればいい?



バレた時のことなんて、結局は…





「覚悟、決めなさい」





俺はその言葉を待っていたのか。

自分の背中を押してくれる言葉が欲しかったのか。



居心地のいいこの場所を離れたくなかった俺を、突き放す言葉が…







「…分かった」







俺は急いで荷物を集めようとして、大して荷物がないことに気付く。



ただ持っていなければいけないモノを少しだけ持って、動きやすい服に着替える。





…早く、早く。