生神さまっ!

道真は本当におかしそうにくっくっと笑うと、着物の袖で口から下を隠す。



何かをつぶやいているのが聞こえる…?






「……逃げるのか」




「ええ。
まさかあの夜の支配者さま直々にお出迎えなさってくれるとは思わないですからねえ」




「…アイツにもう少し、伝えておいてくれ」




何かを呟き終わった道真の周りを、風がゴウゴウと鳴りながら吹く。









「…僕は、お前みたいな馬鹿で阿呆な弟が大嫌いだ。


…けど、

姉さんは案外そうでもない、と」







「……確かに」





道真の周りを吹く風は次第に大きくなり、離れた私達の方まで届く程になってゆく…



…そして。

強い風に2、3秒目を閉じ、目を開けるその間に。






道真はその場から消え去っていた。