「……まあとりあえずこの辺にしないか。


…粋(イキ)がるなよ、現人神風情が」




ぐっと掴まれた腕は結局振りほどけず…無理矢理下に降ろされ、やっと離してくれた。



すぐに自分の右手を庇うようにするけど、そんな私を彼…ツクヨミは一瞥しただけで、すぐに視線を別方向へ向かわせる。



その先には…

…"冬斗"と、道真。




いつの間にか2人は交戦を終え、こちらを見ている。




その時ふと見た…"冬斗"の目。


……その目は"虚無"という言葉がピッタリな、虚ろげな目。




空っぽで真っ黒な瞳。


寂しさなんて感じない。もちろん優しさも感じられない。


ただただ"無"だけがそこにある…




……あ、やば…見過ぎたかも。目合っちゃった…




「……っ…」




逸らそうとしたけど…逸らせなかった。


…笑ったんだ。



彼は私に向かって、にこり、と…爽やかで綺麗な笑顔を私に見せ、笑ったんだ。