「…あたしの時と、同じだよ…」




春乃が今にも泣きそうな声でつぶやく。




「くっそ…よりにも寄って、アイツなんだろ、秋って…!」




夏樹は、とても強い結界を解いたばかりだと言うのに息切れもせず…ただ、悔しそうに唇を噛んだ。






俺は。

ただ、立ち尽くした。



まただ。


また、彼女を…秋奈を、助けられなかった。




『ねえ、冬斗』



今でも鮮明に思い出す。




『私…痛くないよ。苦しくもない。


ただ…


……もう、嫌になったんだ』





そうつぶやいた彼女の、絶望しきった目。


それでもなお自分を心配させまいと、浮かぶ貼り付けた笑顔。





「…行こう」