…何が、言いたいの。



そんな思いを込めて、目の前の人物を睨む。




「…そんなの、決まっています。

染まれ、と。堕ちろ、と申し上げているのです。


その命は全て利用されてるだけに過ぎないのですよ?

そして、勝手なあの方の思考のせいで…あなたさま方は、哀しい残酷な人生を歩むことになってしまった。


結局は、駒なのですよ」



「うるさいです、そんなこと言って…何をしたいんですか」





……笑った。


目の前の男が。



今までとは違う、ニヤリ、とした…不気味な笑みだ。




「………待っていたのですよ。


心に、隙間が表れるのを…」





刹那、頭の奥で…フラッシュのような激しい光を感じた。





「っ、なっ…!」






心に…隙間…?




「……あなたさまは、多少ですが…わたしの言葉で動揺してしまいましたねえ。


その時点でもう、わたしの勝利は決まっていたのですよ」





足の力が抜けて、倒れこむ。



視界の端にうつった道真の顔。



意識が盲ろうとする中、最後に見たもの。

私を見下ろして笑っているのその顔が、








次第、真っ黒に染まっていった。