「………私の罪は、決して許されない。


春乃よりも、夏樹よりも…誰よりも、重い。



目の前で死んでいく家族を見ながら…

私は『良かった』って、そう思ってたの」




真っ黒な感情。

白は、黒に染まった。



「…でも、私は…最後にカッコつけた。

亮太に頼りたくて頼りたくてたまらなかったのに…


……私、自分の罪を少しでも軽くするために、カッコつけたの」




黒の上から、白で塗りたくった。


最初はグレー。
けど、徐々に。


誰にもバレない"白"へと戻った。




「結局私は、ただの大罪人。

安全なココに来れたのは、間違いなく…両親のおかげ。そう知った。


私は2人の命を踏み台にして、この世界にいる」




本当は私なんか、笑ってはいけない生き物なのかもしれない。

ただ、感情のコントロールが効かなかった私が、あの時笑ったことは…本心のあらわれなんだ。




「ごめんなさい……ごめんなさい、って。何度も思い出すたびに謝るの。

けど、
私の脳裏に染み付いたあの映像は、途切れないんだ」



車内のミラーにうつった、
泣きながら笑う私の姿。


私を見ながら死んでいく、両親の姿。



「………何もかも、許されるはずなかった」




私は無言で、帯を緩ませる。


しゅるり、と解けた帯の向こうにある、下着型の白い着物のお腹あたりをめくらせた。




肌色とは明らかに違う、赤に近い茶色の10cmぐらいのヤケド跡が左の腰からお腹にかけてある。





「…これだけが、残った。

たったこれだけ」