生神さまっ!

「なにが、ないんだよ?」



「……なんでもないよ」



「なんでもなくないだろ。

…我慢してたけど、言うわ」




私の手を不意に取る亮太。


学校からの帰り道。午後5時半の住宅街。


秋はもう、日が短くなってきていて、薄暗い。



私達の姿を見ている人は、いない。




「ちょっ、離して…!」



「離すかよ、絶対…!!

絶対、離さねぇ……!」




私の長袖の白のカーディガンを…ぐいっと上まで一気にやる亮太。


中に着ている白のシャツも一緒に上げられて、袖の辺りで止められていたボタンはサッカー部エースの力で簡単に外れ、道に弾け飛んだ。




「お願い、やめてって!」



「………やめねえよ」






ナイスタイミングで夕日に照らされてしまった私達は。



お互いの顔も、手も、よく見えてしまう。