「春夏秋冬に彩られる四季を、アマテラス様も、他の神様も、天界の住人達みんなが。



四季を、愛していた、と…




…そう思っていたんだけどね」



春乃の笑顔が、消えた。



とても悲しそうな目で、ただ窓を見つめていて…




「それは突然だったの。

冬のある日。


降り積もっていた雪が、天界から消えたんだ」




雪が…?



…雪は普通、太陽熱でとける。


異常気象でも起きない限り、1日で雪がとけることはない…!




「雪が消えて、寒さが消えた。

ただ、木々だけが冬なの…枯れたままだからね。

春も夏も、秋もない…1年中、冬の木だけが天界に存在することになってしまったんだ」




春乃は再び立ち上がり、窓を静かに開ける。



暖かい…風が、部屋に流れ込む。



気持ちいい風…でも、これは…春風にしては、暖かすぎる気がする。




「春は暖か、夏は暑く。

秋は涼み、冬は寒く。


そんな季節が消えて、春にも秋にもないような、不思議な暖かさが天界を包んだの」