『どうぞ、お座りください』




そう言われて座った座布団。





「どうぞ」





差し出されたお茶に、会釈で返す。

そんな私に微笑んだ彼は、私の向かい側に位置する座布団へと座った。




「足を崩してください。僕は秋奈様より位が低いのですよ?」



「大丈夫です。

あなたが冬斗の付き人だとしても、同い年なのには変わりないでしょう?」




「………では、そんな同い年の願い、1つ叶えていただけませんか」





彼が、笑う。



「僕の名前を、呼んでくださいませんか」



「っ……」




…見透かされているのかもな。

ココにいる男子は全員、人の心でも読めちゃうの?


…いや、ただ単に、
彼は"当事者"だからかな。


私が彼に対する態度の変化に、彼自身気付くのは、当たり前かもしれない。


それほど私は、分かりやすく動揺していた。