生神さまっ!

な……な………!



「ば、バカ言わない!

あのことは忘れてあげますから!あれはなんていうか…私も着物が乱れてたし、悪かった!
一種の気の迷いみたいなものでしょ!うん!

なかったことにしよう!?」




「へー、なかったことにできるの、秋奈は。

俺が今迫っただけなのに顔真っ赤じゃん」




「いや、だってこれは!しょうがないでしょ!」




なにがしょうがないんだよ!?と自分で自分にツッコミをいれる。

形のいい夏樹の唇を見ないように目を逸らそうとするけど…顔が、動かない!



後ろにはいつの間にか壁が迫ってて、とん、と背中に当たる。




「俺としては、なかったことにしたくないけどな」




「ちょ、ちょ、落ち着いて!



……香織さんは、どうしたの」




ずっと思っていたことを…吐き出す。

夏樹は一瞬固まったけど…すぐに、笑みをこぼす。




「筒に何気に聞いたんだ、俺も。


アイツ…モテるらしいんだけど、今まで全部断ってたらしい。
自分で言うのもなんだけど、俺のことがやっぱり忘れられなかったんだってさ」




…なら、より一層こんなことしちゃいけないでしょう。

女を口説くのが趣味なんて香織さん知ったら…




「だけどさ、最近…アイツ、気になるヤツができたらしい。

ソイツも結構モテるようなヤツらしいんだけど…すごく一途らしくってさ。
香織を好きになった理由もちゃんとあるらしいし、顔だけじゃないらしい。

1回告白したと思ったら…何度も何度もソイツ、香織に告ったんだってよ」