冗談っぽく笑う2人を、ただぼーっと見ていた私。

次に彼は、少し心配そうな顔を私に向け、最後には優しそうな笑みをこぼす。


私も笑い返すけど…ほおが引きつっているのは、なんとなく分かった。





「…俺の部屋、来て」



「……うん」



素直にうなずいて、腕を引かれるまま…冬斗の部屋に入る。


きちんと整理整頓された綺麗な冬斗の部屋。

部屋の端にある机には山のように書物が乗っているけど。




冬斗は一度私を置いて部屋を出ると、1分ぐらいで戻ってきた。

お茶を2つ、手に持って。



「温かいのしかなかったけど…」


「うん、大丈夫。

ありがとう」



温かいお茶も好きな私にとっては、普通に嬉しい。

2口ほど飲んで、一息ついた。




「……元彰が、どうかした?」



結構…ストレート。

私は苦笑いを浮かべるしかできない。



「…リョウタって人と、重ねてた?」



「…さすがだね、冬斗は」



「図星か。

…秋奈の表情を見れば、分かるよ」



綺麗な長い指が私の白い前髪を脇に寄せて、私の視界を広げる。

…途端、世界が明るくなったような気がした。




「…あのね。

亮太っていうのは……

人界にいた時の、友達」