「……今度は俺、忘れてねえよ?」



冗談めかして言った夏樹は、ころんと床に転がる…夏の玉を、手に取る。

赤々と燃える炎のようなその玉を、しばらく私達は無言で見ていた。




見る者を魅了する、残酷な朱の色。





夏樹は、私達は…そんな赤を見る度、嫌な過去を思い出してしまうのかもしれない。


けど…




「…はは…綺麗、だな」





「…ああ」


「…うん」


「うん…!!」




側に置いてある春の玉に引けを取らないぐらい綺麗な朱。




「……アマテラス様達のところに、行くか」




「そうだな」



私達4人は、歩き始めた。


祭壇の間に帰り際、夏樹が結界をもう1回はって…




もう戦いの音がしなくなったな、なんて思いながら




私達はいつもの場所へと歩いていった。