生神さまっ!

夏の玉を…今、義経は持っている。
目の前にいる者が、持っている。


「くっ…!」




夏樹の顔が、途端険しくなる。

体が…まるで、動かないかのように、術を出すのをやめてしまった。




これじゃ、ダメだ…

……私は夏樹の"仲間"だ。


ちょっとクサいし、青春ぽくてちょっと気持ち悪いかもしれないけど…実際、そうなんだから。
筒姫様は、きっと私達が夏樹の夏嫌いをなおしてくれる、そう思ったんだ。


…私が動かなきゃ。




「っ、なつ…!!…!?むぐっ!?」



声を出そうとした口元を…大きくて、暖かい手に包まれる。

なにこのデジャヴ感…!



「んー!!?」



ちょっと、冬斗!?
横にいる冬斗を睨むけど、冬斗は素知らぬ顔。


意外にこれ恥ずかしいから!
やめよう!?



それに、なんで!

私が言わなきゃ…私が言わなきゃいけないのに…!!







「……夏樹!!」






そう叫んだのは…
冬斗の手を振り切った、私。






…なわけなく。



口元がふっと解放され…思わず、横を見る。

冬斗が、今叫んだ…!?



夏樹を見ると、夏樹も少し驚いたようにこっちを見ていた。






「お前が罪を負ってる?そんなん、俺だって同じだからね。知ってたよ、それぐらい。
ただ、罪を背負ってるのは夏樹だけじゃない、俺もそうだ。

春乃は真実を知って、泣いてたよ。でも、義経が来た、って知らせが来た時…春乃は涙を拭って、立ち向かった」



………もしかして…2人…




「…立ち聞きしてたの…!?」



「……」



「無視!?」




じゃ、じゃあ…夏樹の過去も、全部…?


それに…春乃も、知ったってこと?


自分が春樹さんのおかげでここにいる、ってこと…




「あ、あたしだって!びっくりしたよ!

でも、もう止まってばっかじゃいられないもん!春樹はきっと知っててあたしをここに送り出してくれたんだろうなぁ、って思うと…

泣いたけど、泣いちゃったけど!


泣いてばっかじゃダメだ、って思ったもん!」