「…知らず知らずのうちに、って…」



春乃は…夏樹の言葉からして、それを知らないでいる…?



…私だってこんなに動揺しているんだ。
春乃は、もっと動揺しかねないし…自分を、責め続ける。


"心から"愛した人の魂を捧げたから、自分は今この世界にいる、ということを知ったら…



「…秋奈は、魂を捧げればこの世界に来ること、知ってた?」



「知るわけっ!…ない、じゃん……」



「…秋奈が俺と似ている、そう思ったのは…

…秋奈の目だよ」



…目?
目は口ほどに物を言う、何ていうけど…別に私言いたいことも無かった気がするんだけど。



「秋奈はアマテラス様に抵抗してたでしょ、この世界を受け入れられずに」



…ああ、あの時か。
あの時はただパニックになっちゃって…帰りたくて、しょうがなかった。



「けど、最終的には承諾したよな。アマテラス様の言葉で」



…そういえば、そうだ。

私がここにいようと思ったのは、あの言葉がきっかけだった。



「『あの事件の真実を知ることもできる』

…そう言われた時の秋奈の目…


…何かを、悔いているような目。
自分の行いを、自分の人生を」




…それがきっと、夏樹と同じだったんだね。

夏樹も、悔いているんだ。自分の今までの人生を。