生神さまっ!

「…笑顔でいれば、楽しくなると思う?」



「知らないの。

筒も夏樹と同じだもの。


笑顔を、もうしばらくは浮かべてない。

楽しいと思っている時でも、笑えない」



「……いいよ。

俺は、試してみるから。


香織がいない時点で、最悪のスタートなんだ。

笑顔を作ったら…きっと……」




ふと、鏡の中の俺の笑顔が消える。
…結局俺は、1人じゃないか。


1人じゃないと気付いた時は、もう別れの時だったなんて。


バカだろ、俺…




「…夏樹。


夏樹は夏の"生神"なの。

…夏を救ってもらうの」



「夏を救う…?」



「…天界には今、季節がないの」



おもむろに筒は、窓を開ける。


外は…曖昧な青の空が広がり、木々には葉がついていない。

一瞬冬のようだと思ったけど、風が生暖かい。


季節の例えようのない微妙な空間。




この屋敷は周りより少し高いところにあるのか、荘厳なでっかい屋敷が下に所々見えるけど…なんていうか、活気も感じられない。




「季節は消えた。夏は消えた。

筒は、夏の神さま。

けど、力がなくなった神さま。


夏樹に頼るしか、ないの」