諦めて、私は口を開く。




「私は今まで、この16年間以上。

人と違うところと言えば孤児ということだけで、それ以外は別になんら変わりない普通の人間として生きてきたんです。

それこそ怪我もたくさんしましたし、願いが叶わないこともありました。


神様なわけありません」




ふふふっ……と、小さな笑い声が、アマテラス様から聞こえた。



本当に面白そうに、でもできるだけ声を立てないようにと手で口元をおさえながら。




「面白いですね、本当…ふふっ。


あなたの唯一、人と違うこと。


それこそがあなたが神である証拠ですのに」




なにが面白いのか、そんなに!



こちとら誘拐までされたのに。しかも、あり得ないような。



唯一人と違うこと…私が孤児だということ?



それこそ人間という証拠にしてもいいと思うのに。



だって、現に日本に孤児院は山のようにある。親がいない子なんて、たっくさんいるのに。




「孤児違いじゃないですか?」



「孤児違いってなんだよ」



「…だから、私とは別の孤児ってことです!

私はつい1週間前まで、孤児は孤児でも義母と義父と、幸せに過ごしていたんです!


中学生になった時に、やっと私は自分が孤児だということを知らされて、その時初めて知ったんですよ!?」




つい声を荒げてしまったことに気付いて、口をすぐに閉じる。



大きな声を出してしまったせいで、疲れた。



…精神的にも、肉体的にも。