生神さまっ!

「君は怖がってないもんね。

今から、


人を殺しにいくのに」





…人を、殺しにいく。

実感なんてない。むしろ、テレビで流れる少年少女の犯罪ニュースを見ててその少年少女達の頭を今まで疑っていた側だったし。



けど、理由なんて様々だろ。



…俺はアイツを、
許せない。




向日葵畑の向日葵と向日葵の間から、1人佇む裕也を見つめる。




お前が。お前が香織の笑顔を奪った。


お前の勝手な恋心が。



お前の勝手な行動が。





「……筒」



「…なに」



「もう1回、聞く。

"あの話"本当だよな?」



「…何回聞けばいいの。


昨日、

説明したの。


君が、魂を天界に差し出したら、君はあっちの世界に行ける。


その褒美として……」




「…ある"3つのこと"を得られるんだっけ。

1つが、能力。

もう1つが、神としての地位」



馬鹿馬鹿しい話だけど、これに頼りすがって今から犯罪を犯そうとしている俺が、そんなことを言えるわけない。




「そして、もう1つが…」



「分かってる。

…じゃ、行ってくる」




果物ナイフを握りしめる。

俺は、笑っていたことに気がつく。自分が。


自分が笑うことなんてそうそうないことぐらい、自覚している。




なんで俺は笑っているんだろう。





なんで、俺は…







一歩、踏み出す。



向日葵畑の合間を縫うように、少しずつ、裕也の背中に近づく。