「…さすが、元武将だな。

兄に裏切られて気が狂いそうになり、魔物と化しそうなお前を救ってやったのは俺だが」




「感謝しているぞ、それは。

ただ、それとこれとは違うだろう」




「…夏が奪われたら、俺とあともう1人になる。


秋と冬だけだ。


卑弥呼が春を司り、お前が夏を司り、アイツが秋を司り、俺が冬を司る。

それが、卑弥呼の死で崩れたばっかりだというのに」





「…必ず、帰ってみせる。信じてくれ。

その代わりに…」



「なんだ?」



「…俺はもし死にそうになったら諦めて、夏の玉を手放す。

そして…術を使い、ここに来る。


そしたらお前は…2つのことをするんだ」




スサノオは、一つため息をついた。




「…お前が言いてえことぐらい分かる。

…分かった。突っ込め。



もう、水無月…6月が終わる。

7月といえば、もう夏本番だろ。


…行け」





「…ああ」





「お前ともう1度、酒を交わせることを願ってるぞ」




「…俺もだ」





義経は、スサノオに背中を見せ、部屋を出て行った。


1人になったスサノオは…




夏というものがどういうものだったかを思い出しながら、酒を1人で飲んでいた。