生神さまっ!

冷たい。
ひんやりと、熱くなっていた俺の手を冷やす。




こんな冷たく無機質な物が、人を殺めてしまう。

ただ俺が普通に過ごしていただけで、人の夢を奪ってしまう。




誰もが、自分が今行っている行動がどんな影響を及ぼすのかを知らない。

俺が今当ててるだけのこの物で、実際に人を殺めている人もどこかにはいるかもしれない。




「…もう、こんな世界に…いたくねぇよ…」




ふと、つぶやいた言葉。

目を閉じて…手首にある冷たい感触を感じながら、香織の今日の様子を思い出す。



香織は、俺のためを思って…裕也と会った理由を言わなかったんだと思う。

もし違ったら、どんだけ自意識過剰なんだよ、俺。


…でも、

そうとしか思えない。




「…こんなクソみたいな世界から…
…早く、逃げてえな…」




目をゆっくり見開いて…右手で持つ…

"包丁"を、左手首に置く。



こんなんで、死ねるのか。

こんな簡単に、死ねるのか。



簡単すぎるだろ。