まだ会ったばかりの人に…なにが分かるの。



私がどれだけ苦しいかだなんて…知らないでしょ。




けど、ここでまた何か言ったって無駄なこと、もう分かってる。





「…帰る場所ならあります。

私がいるべき場所は、あの孤児院。手続きもしてますから」




呆れた、とでもい言いたげに。



ちょっと彼は笑う。



その笑みが、思ったよりも冷たくなくて…驚いてしまう。




「まだ分からないのか…

意外にバカなんだな」




…ちょっと今、イラっときた。



そんな直球で来なくてもいいじゃん!



それに、分かるわけないでしょ!



国語、苦手な科目の一つでしたからねえ!




「じゃあ説明するよ。


秋奈、君はあの孤児院に帰っても住めない。

手続きは全て"偽物"だからね」




「は……?」



偽物?って、え?ど、どうゆうこと?



頭がついていかない私を置いてって、彼は微笑みながらどんどん話を進めてく。




「全部天界の奴らがあの手この手で偽の手続きに持ち込んだだけ。


つまり、秋奈のいるべき場所は、孤児院じゃないってこと」





冬斗と呼ばれている彼は、この広い広い部屋を見回した。



そして、一つ…息を吐く。





「…いるべき場所は、ここ。



"天界"」