「その"きっかけ"が、たまたま春樹の死だった…そう考えるのが、1番正解に近い気がするの。

それとね、前に佐保姫様が少し話してくれたことがあるんだぁ」



「えっと、それって…?」



「これがさっきからあたしが言ってた"詳しくは分からない"ってやつなんだけどねぇー…」






『例えいつか、"彼の死"と"自分がどうやってここに来たか"の本当の理由が分かっても、決して思いつめてはいけないわ。

これは決して、あなたのせいでは無いのだから…』






「…確かに、それを聞いちゃうと…さっきの春乃の考えが1番近い気がするよね」




「でしょ?

…ちなみに佐保姫様にその話を聞いたのは、佐保姫様がアマテラス様に言われて部屋に引きこもる直前なんだ。

当分話せない私に、みたいな感じだったからさー」





"自分がどうやってここに来たか"…かぁ。

…春乃の仮説が正しいなら、私の"きっかけ"っていうのは、やっぱり…



喉が急激に乾いて、気持ち悪い。
唾を飲み込もうにも、口内もからっからで、なぜか汗のようなものが出てきた。



「…春乃、ちょっと私も、そろそろ部屋に戻るね。

読みたい書物もあるからさ」



「うん、分かったー…って…

秋奈…もしかして具合悪い?なんか、顔が真っ青だよ…?」




私が立ち上がりかけるのと、春乃が私の足元の着物の裾を引っ張るのは、ほぼ同時だった。
けど、私が立ち上がる方が少し早かったみたいで。

私の体はぐらり、と揺らめき、後ろに尻餅をついてしまった。


びっくりしたのか、春乃は逆にずっと私の着物の裾を握っていて。



転んだ拍子に、春乃に引っ張られたものと、未だ慣れず自分1人で行ったせいで緩めの帯が開き、私の胸元からお腹が露わになる。