「秋を連れてきたよ」




突然、前の男の人がそんなことを言った。



あ…秋?



いや…私の名前、"秋奈"なんだけど…



なんか省略されてる…




と思っていると、また突然襖が開き、腕を引っ張られる。



ら、乱暴!



そして次に背中を押され、ムリヤリ中の部屋へ。



な、なに…?



怖くなって…顔を、ゆっくりと上げる。





そこは……広い広い、和室。



の中に、私と同い年ぐらいの女の子と男の子が1人ずつ並んで座ってて。




その向かい側には、



一段と豪華な着物に身を包む、銀色の髪を持つ女の人。





…なに、ここ…?





本当に誘拐犯たちの会議室?



にしては…とても素敵なんだけど…




女の子と男の子も着物姿だし。




その2人をもっと見ようと思ったその時、銀髪の女性がふっと笑った。




「ご苦労様です、冬斗。

お前は戻りなさい」




「…はい」





私の後ろからすいっと出てきたのは…男の子!?




漆黒の髪…白い肌に、長いまつげ。



ほっそりとした顔と身体。



そして、黒を基調とした着物姿が似合ってる。



一瞬で目を奪われてしまうほどの、美青年…