春樹さんの手が、春乃のほおに触れる。





『…春乃には、笑顔が1番似合ってるよ』






春乃は…ただ。
彼に向かって、ぐしゃぐしゃの泣き顔で、笑う。




「……2回目、じゃん」



『…何度見ても、春乃の笑顔は飽きないからね。

……春乃、


好きだよ。さようなら』




「…さよう、ならっ……!」









気付けば、春樹さんはそこから消えていた。





きっと、"帰って"しまったんだと思う。
彼がいるべき、本当の場所に。

春乃の背中を夏樹が支え、私を冬斗が支えてくれたまま、佐保邸を後にする。


私達の元に駆け寄って来た第一部隊や、他の部隊の人は、冬斗の手に握られた春の玉を見たと同時に、歓喜で叫んだ。





さすがに私達は疲れちゃって、叫べなかったけど。


…ただ、錯覚じゃなければ。










以前よりさらに、春の玉は…輝きを増した、そんな気がしたんだ。