「秋奈!!!」




その声は一体、何回私を呼んだのだろうか。




「…やっと気づいてくれた」




気付けば、私の肩を持つ冬斗が目の前にいて。
そしてその肩越しに、卑弥呼が血まみれで倒れているのが見えた。




…私が、やったんだ、よね。
私が、この手で。



私の推理は…外れてなかった。
夏樹の術を、この広間に来たときわざと弱いお札を出して発動させて…”記憶”をした。

冬斗はどのタイミングかイマイチ分からないけど、
冬斗の斬撃を受けたときか…もしくは、

玄関にいた男の人…
あの人の記憶が、卑弥呼にも伝わったのかもしれない。



卑弥呼は”記憶”した術を、お札で防ぐことができる。


でも、逆を言えば。



記憶していない術は防ぐことができず、



物理攻撃の場合…記憶は多分、できない。




冬斗の斬撃はタダの物理攻撃じゃなくって、術も込めてるらしい。




だから、記憶をされた…





「…無茶、しないでよ」



「でも、私以外できなかったよ、あの状況じゃ」



「…けど」




まだなにか言いたそうな冬斗に、笑って首を横に振る。








…冬斗、私が怖いのは…

…決して、卑弥呼を殺したことじゃない。