「我が主(あるじ)に刃(やいば)を向ける者は…」




どこから出したのか、突然彼は薙刀を持ち、ぶんぶんと振り回す。




「…例え愛した者であろうとも、

始末する」




無表情で言った彼は、
突然薙刀を、ぶん!と一振りする。




「秋奈、こっち!」



「え!?」




薙刀の風が、空を切って。

私の白い髪が、少し切れた。



…冬斗に引っ張られてなかったら、
今頃私は…!




パサ、と5cmぐらい切れた白髪が石畳に落ちる。



薙刀を振り回す謎の男に目を向けると、再び薙刀を構えていた。




「冬斗!!」



「…っ、了解!」




夏樹が急に、彼の元へ突っ込んで行く。

ちょ、ちょっと…!?夏樹、なにも持っていな…!




「…主に刃を向けるおつもりで」




夏樹と彼の距離が、わずか10mになった時。



薙刀が振り落とされて…!





「なつきっ!!」





ブオオン!と、空が激しく切れる音。


いや…



さっきより、大きい音。




夏樹に目を向けると…

そこには、真っ赤な炎が2つ。



まるで切られたかのように、まっすぐな炎が2つ、赤々と燃えている。



もしかして…切られたのは、夏樹じゃなくて…!




「とった!!」



突如目に映る、薙刀の彼の後ろにいる夏樹。


手からは炎のようなものが生まれていて…



彼を、包み込む。