生神さまっ!

春樹…

なんで?


その3文字だけがひたすら頭の中で繰り返されてゆく。




なんで、なんで、なんで、なんで。
なんで春樹が。


一昨日まで笑っていた春樹は?
一昨日まで漫画を読んでいた春樹は?
一昨日まで冗談を言ってた春樹は?




ねえ、どこ。

どこ、なの…



「あ……ぅ、あ……は、るぎ……」




目を覚まして、春樹。

まだ大丈夫。


きっと驚くだろうど、
受け入れるよ。


騙されちゃったって言いながら、
あなたに抱きつくんだ。




ねえ、春樹…




手にそっと触れた時、

あたしの中のなにかが、また1つ壊れた。




「つ、め…た……」




ボロボロと涙が溢れ、あたしは膝を床につけて泣いた。

抑えきれなかった。


春樹の前で見せたくなかった涙を、
ただただ流し続けた。




彼は、死んだんだ。




「…春乃、ちゃん…」





看護師さんが、あたしの頭をそっと撫でてくれる。

目の前に横たわる春樹の顔は、とても綺麗だった。




「約束…まも、ってよ…」




返事は、ない。




「ねえ…!」




返事は、ない。





「約束…守らないと…!」




……返事は、ない。





「あたし達、別れなきゃいけないんだよ……!!」





返事は…



ない……!





ただぼたぼたと大粒の涙が頬をつたり下へ落ちてゆく。

綺麗な病室の床があたしの涙で埋め尽くされてしまうのではと思うほど、
たくさん。

呂律が回らない。


あなたの顔が見えない。



心が、痛い。





「ねえ、春樹…返事してよ…!

春樹……!!」




「春乃ちゃん…」




看護師さんが、震える声であたしの背中をさする。






「……春樹君の、呼んでた漫画よ」





手渡されたのは、1冊の漫画。



あたしと春樹が再会した時にあたしが読んでいた。
一昨日に春樹が5回目の途中だった。



あの、漫画。





「…これ……」




「…しお、り…?」