生神さまっ!

気付いた時には、あたしの小指から春樹の小指が離れていっていた。



…どうゆうこと…?




「…こう言っておけば、僕は守れるかもしれないからね」



「そ…そっか!

うんうん、そうだよね…!


もう、驚かせないでよー!」



「…うん」



コンコン、と春樹の病室にノック音が響く。



「秋奈さーん。

面会時間終了です」



「あ、わ、分かりました!

すぐ帰ります!」



「お願いしますねー」



元々ここに入院していたあたしの名前を知っている看護師さんは、少なくない。

だから、あたしを名前で呼ぶ人も多かった。



「じゃあね」



「うん!

じゃ、また明後日の水曜日来るね!
明日はあたし、来れないからなー…クラスのみんなで集まるの」




「そんな、無理して来なくても大丈夫だから。

ほら、早く」




「う…うん。

じゃ、またね!」




「…うん」



春樹にバイバイ、と手を振って病室をあとにする。



すれ違う看護師さんにさよなら、と挨拶をしながら足を急ぐ。



…こうでもしないと、
不安が残ってしょうがないから。




時刻は午後6時。


空は、薄暗い。

もう春とはいえ、肌寒くって、ベージュのPコートをぎゅっと握った。




家路に急ぐ。

家路と言っても、孤児院だけど。

でも、あたしの家は、あそこなの。




ふと思い出す。



春樹と思いが通じた、あの日のこと。