「秋奈、早く!!」



「うん!…ちょっと待って!」





慌ただしい朝を迎える。



私は慣れない膝上までの紺色を基調とした、白いぼんやりとした光がいくつかある模様のミニ浴衣みたいなのを着て、長く伸びた白い髪をもらった赤い紐でぎゅっと結ぶ。




「…秋奈」



「アマテラス様……」




少しの不安も感じられないような、相変わらずの微笑みを浮かべたアマテラス様がそこにいた。




「…これを」




すっと手渡されたのは…




「…短刀です」



「私、使えないです……」



「大丈夫。護身用です。


…あなたの力が出たのは、たった1回だけ。

2人に守ってもらう形になりますが、無理がある時もあります。


そんな時は…卑弥呼相手には通用しなくても、一瞬怯ませるぐらいはできるでしょうから」




「…分かりました」



アマテラス様から指定された場所に、鞘に収められた短刀を身につける。




「それと、これも。

…他の者には止められましたが、私と薬師が作った薬です。

瀕死状態でも、5分ほどで歩けるほどの効力があります。

…1人分しかこの短時間では作れなかったので、どうか大事に…」



「ありがとうございます…大切に、使います」






「…昨日は、すいませんね。

あなた達には、休んでほしかったのです」




「アマテラス様、もういいですよ。

おかげで体はピンピンですし!」




「…捜査隊は、まだ春乃を見つけたという報告がありません。

ただ、佐保邸に向かったいくつかの捜査隊の消息がつかめません」