雪見月

女子であることを裏付けるように特有の丸みを帯びた、

手入れをまめにしているらしい、真っ白く滑らかなその手には、俺の携帯が載せられていた。


ちょこん、とそれはもう呆気なく。


え。

……恥ずかしい。


ちょ、待て、この人俺が探してるもの、って言ったよな。


そう言ったってことは、だ。


俺が真っ青な顔をして、みっともなく狼狽えていたのをばっちり見られた訳で。


火が噴いたかと錯覚するほどに、もはや赤を越え頬がどす黒く変色。


なに、してんだ、俺……!


羞恥に耐えかねて黙り込む。


「すみません、間違いましたか?」


不安そうに確認され、無言のまま固まってしまっていた俺は、やっと我に返った。


「……いえ」


ありがとうございます、と辛うじて答えたはずだが、掠れすぎて一続きの吐息みたいに聞こえた。


俺が携帯を落とさないように握り締めると、彼女は微笑んで頷いて、小走りで立ち去っていく。


その軽やかな背中が今は無性に目についた。