雪見月

たどり着いた俺と、目が合う。


「……あ」


驚愕を漏らしたのは目の前の人。


ぱっと口を覆い、彼女が急いで目を伏せた。


誤魔化すようなその仕草に、俺は、どもって。


「あ…の、」

「すみません……!」


俺が言葉を考える間に、小さく謝って行ってしまう。


「っ」


彼女が俺の顔を見て驚いた、たったそれだけのことが背中を押した。


――もし。


もし、まだあなたが俺を覚えているのなら。


声をかけても許されるだろうか、

声をかけたら振り返ってくれるだろうか。




もし、声に出して好きですと伝えたら、この恋は実るだろうか。