雪見月

手当てはすぐに終わり、食欲もあったから全部食べて。


落ち着くと、どうしても傷口が目に止まる。


絆創膏の緑がひどく目に染みた。


白地に印刷されたそれは、こじんまりと隅に並んでいて。


彼女の、どこか控えめで、だけどはっきりと主張をする姿を思い出させた。


ゴミを捨てながら、彼女が最初からパンの好みは尋ねなかったことに思い至る。


おにぎりの方が片手でも包装を開けやすいからだろう。

そんなに力もいらない。


彼女の機転に舌を巻くのは何度目だ。


どんなに低く見積もっても、千五百円じゃ、本当に、明らかに、絶対足りない。


彼女の制服は西高だった。


近隣校だから俺同様あそこは通学路だ。また会える。


何かを返せないはずがないのに、甘えて何も返さないなんて嫌なんだ。


彼女に話した理論は俺の中に整然とある。


何か、…何か。どうする。


西高はうちと違ってバイト禁止、髪染めちゃ駄目、制服着崩しちゃ駄目、っていろいろ校則あるらしいからな。


礼をするにも邪魔じゃないものが良い。


……ストラップなら大丈夫、かな。


明日クラスの女子に人気店を聞くことにして、俺は風呂に向かった。