雪見月

家で袋を開けてみて、静かに溜め息を吐く。


「千五百円じゃ足りなかった……」


俺が好きだと言った、焼きたらこおにぎりと紅鮭おにぎり。

甘さ控えめバニラアイス。

暖かい緑茶の紙パック。


アイスには木のスプーンまでもらってくれている。


充分過ぎるくらい丁寧だが、まだ終わりじゃない。


袋は二重だった、いや、袋の中にもう一つ袋が入っていた。


絆創膏、湿布、消毒液、布テープ、ガーゼ等々。


俺に携帯を渡してから、彼女が小走りで去った意味は、おそらくこれらだ。


急いで買いに行ってくれたに違いない。


家にそれくらい常備しているかもとは考えただろう。


でも、もし何か足りなかったら。

少ししか残っていなかったら。


この近くに病院はない。


傷がひどく悪化してしまって、治るものも治りにくくなってしまう、そんな可能性に彼女は気付いたんじゃないかな。