名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

冷や汗をかきながら、ぎゃああああ! と内心騒ぐわたしなんかはお構いなしで、そうちゃんは少しだけ嫌そうに目を細めた。


「友達はあんまり呼びたくないんだけど、呼ばないと駄目?」

「呼ばなくていい」


あああマイペース。さすがそうちゃん、なんてマイペース。


そうちゃんはわたしを女子だなんて認識していないからそんなことが言えるのだ。

だからそんなにマイペースなんだ。


わたしだって一応、生物学上は女だし、女子の制服だって着てるし、一般には女子に見えると思うのに。


幼なじみのそうちゃんにはやっぱり、わたしは幼なじみにしか見えないのだろう。


少しでもわたしを女子だと認識してくれているなら、もう少し何かあってもいいはずだ。


だって、この年頃の男女が、二人で出かけるなんて、普通それはデートと言うんだから。


……友達枠ですらないのかな。


ねえ、そうちゃん。


幼なじみと二人で出かけるのは、デートとは言わないの?


揺れるわたしを覗き込んで、そうちゃんは見当違いなことを言った。


「誰呼ぶ?」

「え?」

「友達」


いや違くて、友達呼ぶ呼ばない以前に、二人で出かけることを問題視しているわけで、


「男女で二人呼んでダブルデートみたいにするかー」