名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

山をなんとか二つとも攻略し終わり、名残惜しい軽口に区切りをつける。


「これが終わったら、各教室の教卓の上に置きに行く。で、先生に報告しておしまい」

「分かった。一クラス四十ずつだよね?」

「そのつもりで刷ってある」

「了解」


とにかく十で一束にして、束を交互に四つ重ねることにしよう。

それで、四束重ねたまとまりを六個作ればいい、と。


わたしが資料を分けている間に、そうちゃんには残りの山のホチキスを留めてもらうことにした。

分業、分担って大事。


五クラスぶんを作ったところで、そうちゃんが最後の一人ぶんを留めた。


パチン、と青いホチキスが音高く鳴る。


「終わったあああ!」


ガッツポーズをするそうちゃんが、なんだかちょっと微笑ましい。


もうね、途中から手が痛くて痛くて仕方なかったもんね。だからそうちゃんが俺がやるって残りを引き受けてくれたのだ。


終わってよかった。


「おつかれ」

「おつかれ。首尾は?」

「あとは配るだけ」

「よし」


机を直して、鞄を持って。


「行こう」

「うん」


肩ひもが落ちてくるのをうるさそうに払いつつ、三クラスぶんを持ったそうちゃんに慌てた。


「えっ?」

「え?」


いや、え? ではなく。