名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

「席どこ使っていい?」

「わたしの向かいでいい? わたしの席は」

「一番端。だろ」

「うん。お母さんたちはまだ起きてこないから、気にしないで食べちゃって」

「ん。いただきます」

「いただきます」

「……あ、うまい」

「ありがと」


手早く食べて。


食洗機に全部入れて、テーブルを拭いて、歯磨きをして。


そうちゃんの歯ブラシどうしよう、お隣に戻るとか? でも時間ないかな、などと思っていたら、そうちゃんはちゃんと歯ブラシを持ってきていた。


……そうちゃん、最初からうちでご飯食べるつもりだったんだね。

いやいいんだけどね。わたしもそのつもりだったけどね。


でもなんだか、全てがそうちゃんの手のひらの上で転がされているような気がして、ちょっぴり悔しい。


とにかく急いで歯磨きをして、忘れ物がないか確認してから、一緒に家を出る。


「行こ、美里」

「うん」


行ってきます、を二人で一緒に呟いた。