名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

「…………」

「…………」


いつまで経っても全然出て行く気配がないので、しびれを切らして呼びかけた。


「そうちゃん」

「ん?」


べちり、手ごと引きはがして、さっさとベッドのそばに立つ。


可愛くない無地のパジャマなのを見られたくなくて、それで今までずっと布団に潜って我慢してたんだけど、パジャマはもういい。


急がないと遅刻する。


朝会に間に合わないだなんて、せっかく起こしに来てもらったのに、全然意味がなくなっちゃうじゃないか。


「先に麦茶飲んでてってば。紅茶でもコーヒーでもお茶でもお水でもいいから」

「うん」

「いや、うん、じゃなくて。そろそろ着替えしたいなって意味なんだけど」


ハンガーにかけていた制服を引っ掴んでジト目を向けると、実に爽やかな笑顔を返された。


「ん。どうぞ?」

「どうぞ、じゃなーい! 出てってって言ってんの、馬鹿なのあほなの何なの!」


遅刻したら起こしてもらった意味ないでしょうが! と叫んで部屋の外に放り出したわたしは悪くない。