名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

「六時になったから起こしにきた。昨日の約束覚えてる?」

「覚えてる。叫んでごめん」

「ほんとだよ。なんで叫ぶんだよ」


なんでって、主にそうちゃんのせいである。


「か、顔がっ、顔が近かったからびっくりしたの……!」


あと手なんかつなぐから……!


「うるさかった」

「ごめんってば」

「まあ起きたからいいけど。美里はほんっと寝覚め悪いね」


だって眠いんだよ。


でも確かに、人の顔を見て大声で叫んだら駄目だろう。こう、いろいろと。


「お手数おかけしました」


ぺこり、謝ると、ん、と鷹揚に頷いたそうちゃんが、クマがないか確認するように、わたしの顔を覗き込む。


「美里、昨日はちゃんと早く寝た?」

「九時に寝た」


昨夜は心配すぎて、可能な限り早くベッドに潜り込んだのだ。


クマはないから、近づいても何ら問題ない。


ふふん、と胸を張って顔を近づけたら、さりげなく離れられた。


……自分から顔を近づけたくせに。ひどい。