名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

「……さと。美里。おーい。起きろー」

「んー」

「おーい。六時だって。起きろー」

「んんんー」

「美里ー、みーさーとー」

「……ん」


もぞり、寝返りを打ち。

何かにぶつかって。

邪魔だなあ、とそれを押しのけると、溜め息とともに押しのけた手を取られた。


ん? ちょっと待って、ん?


手……みさと……手……!?


頭の中で、ようやくいろいろがつながって、ばちりと目を開けて跳ね起きれば。


「あ、起きた?」


鼻が触れそうなほど近くにそうちゃんが、いて。手が握られていたりして。


「ぎゃあああああ!?」


予想外の至近距離と温もりに、わたしの頭がショートした。


「そ、そそそっ、そ、ちゃん……!」

「うるさい」


むすり、不機嫌な視線が寄越される。


ただ口を開け閉めして呆然としていると、小首を傾げたそうちゃんに、「あれ、起きてる? 美里?」とつないだ手を揺らされた。


びっくりしてそうちゃんを見れば。


「あ、よかった起きてた。おはよ、美里」

「おはようございます……」


……お願いだから、そんな、気つけ代わりみたいに気軽に手を握らないで欲しい。