名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

「じゃ、明日は六時に起こしに行くから」

「うん、六時に。頑張る」


ん、頑張れ、とふんわり頷いて、そうちゃんは柔らかく微笑んだ。


「また明日、美里」

「また明日、そうちゃん」


お隣の扉が開く音は、やっぱり今日も、わたしが扉を閉めてから聞こえた。


ただいまを言い、上機嫌で階段を上がって部屋に駆け込んで——重大なことに気づいてしまった。


すとんと鞄が落ちる。


……わたしパジャマじゃん。

明日の朝、わたしパジャマじゃん!


え、どうしよう可愛いのあったかな、いやあれは冬用で。

スウェット? もはやスウェットの方がいい?

いやいやいや、スウェットは駄目でしょパジャマでしょ、でも可愛いのがないとかどうしよう……!


取りやめる? 約束したの、やっぱりなしでって言う?


あまりの衝撃に、瞬間本気でそんなことを考えかけて、悩むまでもなく、そんなことは言えないし言いたくない、と思った。


でもわたし、絶対、絶対髪ぼっさぼさで寝起きの顔じゃんか。


そうちゃんは用意終わらせてから来るんだと思うから、絶対制服で髪さらさらで。


……来てもらわなくていいじゃん。電話で起こしてもらえばよかったじゃん……!


ていうか部屋! 部屋片づけなきゃ……!


うわあああ!? なんでこんな馬鹿な約束しちゃったんだわたし!!