名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

「一緒に食べたら美里も食いっぱぐれないし」


ああくそう、ほんとにこやかだな……!


なに名案を思いついた、みたいな顔をしてるんだ。


嬉しそうににこにこするなばか、かっこいいしまぶしいし悔しいじゃんばか……!


「いやいやいや、よくないよ。意味分かんないからね、行かないからねわたし……!」


待ってやだやだ、そうちゃんは有名なんだよかっこいいんだよ、自分の容姿を思い出してよ……!


わたし、確かにお昼食べられなくなるのは嫌だって言ったけど!


でも!


そうちゃんと一緒に食べて噂されて、いろいろ言われて面倒くさくなることの方が格段に嫌だから……!


「待っ」

「行くよ」


くるりとひるがえった背中を追いかける。


「行かないって、ちょっと、ねえそうちゃん! 行かないってば……!」


うわずった声で制止しても全然聞いてくれない。


どうしようどうしよう、と慌てて腕を掴んで引きとめれば、掴まれた衝撃からか、ぴしりと固まったそうちゃんは、やっととまってくれた。


よ、よかった。