名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

やだってなんだ。


お昼ご飯食べたいんでしょ、お金ないんでしょ。


お財布貸すから買ってきて、ってことじゃんか。


お財布を貸す意味が分からないはずはない。


「なんでやなの」

「俺、女物の可愛い財布持ってる変なやつになりたくない」


お財布を持ったまま尋ねると、実に真剣な表情でそう返された。


えええええ……。


たしかにわたしのお財布は金色の小さいリボンついてるし、パステルカラーだし、長財布だから大きくて目立ちますけど。


それにさりげなく可愛いとか褒められても反応に困るんですけど。


えええええ……。


一瞬混乱したのを何とか持ち直して説得する。


「いや、大丈夫だよ。問題ないよ、変じゃないよ。誰もそうちゃんが普段から女物の財布持ってるとか考えないよ」

「やだ」


説得の甲斐なく、ばっさり首を横に振られた。


「……やだも何もな」

「美里も来て」


訝しむわたしなんか放置で、そうちゃんは真顔である。


真顔でわたしも一緒に行って、買い物に付き合って欲しい、なんて言っているのである。


……いや、だからなんでだ。