名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

怖がったのは丸わかりなので、もうこれ以上見ないように開き直って目を閉じて縮こまる。


耳を塞ぐのはあんまり子どもっぽくて、さすがにできなかった。


怖がりなわたしにも、プライドみたいなものは一応あるのである。


耳を通りすぎていく音をなるべく聞き流して、関係ないことを考えようとしてみる。


……あーえっと、えーっと、なんだろ、楽しいこと楽しいこと……!


必死で考えてみても、焦りからか何も思いつかなくて、ますます焦りが募る。


金属音や悲鳴が何度も聞こえる。


どうしよう。


どうしよう。


「っ」


するりと、手が触れた。


一瞬それにも盛大に肩が跳ねてから、はっとして隣を見る。


大きな手は、当然のように隣から伸ばされて、わたしの指先に触れていた。


犯行時刻を読み上げる声が聞こえる。


……それを怖いと、思う前に。


そうちゃんが前を向いたまま、静かにわたしの手をさらった。


一旦少し離して、お互いに手を開いて、上からゆっくり下ろしながら指を絡めて、握る。


手を引かれていたあの幼い頃とは違う、高校生になってからの、もう数年ぶりの、初めての恋人つなぎ。

……恋人じゃ、ないけど。


不思議と呼吸は揃っていた。


揃っていたんだ。揃っていた、んだけど。


問題が一つ。


……いつ離したらいいのかな、これ。