名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

ディスペンサー前には短い列ができていたから、二人で縦に並んだ。


カップル……かは分からないけど、男女の二人組が多くて、「どっちにする?」「こっちかな」「じゃあ一口」なんて会話があちこちから聞こえてくる。


「…………」


わたしたちもそう見えてるのかな。


不毛な思考にちょっとだけ上がる体温を、意識の外に追いやった。


二つで一つのジュースディスペンサーに、それぞれ二種類のデトックスウォーターが入れられている。


ラミネート加工された貼り紙によれば、左側が桃とプラムと林檎とレモン、右側がキウイとパイナップルとレモンらしい。


手書きの果物の絵と丸い字がとても可愛い。


ジュースディスペンサーの右側には、グラスと氷が並んでいる。


薄青のグラスは、三つずつ重ねて引っくり返されて、カゴに陳列されている。


お店のあちこちに涼やかな青が多いのは、今日は気温が高いからだろうか。


手書きの貼り紙には『今日のデトックスウォーター』と書いてあるから、味は日替わりなのに違いなく。

きっとコップも、いくつか種類があるのに違いなくて。


少しでも涼めるようにという配慮だとしたら、とても大変な手間だろうけど、とてもとても素敵だなあ、と思った。