名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

ねえ、そうちゃん。


やっぱりそうちゃんはずるいよ。


今のは完全に不意打ちだった。


困るってなんで、って聞きたい。


赤い理由を知りたい。


……ああでも、むしろわたしが返り討ちに遭いそうだからやめておこう。


ぎゅっと強く握られた手には、やっぱり汗をかいている。


お互い様だけど、速い心音が伝わってくる。


ふてたように横を向くそうちゃんに、どんどん加速する鼓動がうるさい。


「……さとーさんのあほ」


いじけた小さな声音に、笑みがこぼれて。


そうちゃんが好きだなあと、何度も何度も思ってきたことをまた思った。


思いを重ねる度に、好きを更新する度に、ときどき不安になるんだ。


この思いは、いつになったら消えちゃうんだろう。


わたしはいつになったら忘れちゃうんだろう。


そうちゃんが好きなことを、そうちゃんが好きだったことを、覚えていたい。


いつまでも。ずっと。