『おはよう。起きてる?』
『おはよう。起きてるよー』
私は別に遅れたわけではないんだけど、待ち合わせの時間まであと十分あるから、多分これはもう先にお隣を出てきて、うちの玄関先で待ってて暇なんだろうなあ。
ばたばたしながら階段を駆け下りて、
コーヒーを淹れているお母さんと新聞を読んでいるお父さんに「行ってきます」を言って、
爪先に大きなリボンがついた、側面を縁取る小花のレースが可愛い黒い靴を履いた。
一番お気に入りの、手持ちで一番ヒールが高い、大人っぽい靴。
履き慣れているから靴擦れすることはないだろうし、あんまり歩き回らないだろうから足が痛くなることもないだろうし、この靴を履こうって決めてあった。
『今出るところ』
急いで送ると、すぐさま既読がついた。
『了解』
……また少し、心が浮く。
ばたんと音高く扉を開けると、音で気づいたらしい。
柵にもたれていたそうちゃんが、ゆっくり顔を上げてこちらを見た。
目が合ったので笑いかける。
「おはよう、佐藤くん」
「おはよう、佐藤さん。似合ってる」
「っ」
『おはよう。起きてるよー』
私は別に遅れたわけではないんだけど、待ち合わせの時間まであと十分あるから、多分これはもう先にお隣を出てきて、うちの玄関先で待ってて暇なんだろうなあ。
ばたばたしながら階段を駆け下りて、
コーヒーを淹れているお母さんと新聞を読んでいるお父さんに「行ってきます」を言って、
爪先に大きなリボンがついた、側面を縁取る小花のレースが可愛い黒い靴を履いた。
一番お気に入りの、手持ちで一番ヒールが高い、大人っぽい靴。
履き慣れているから靴擦れすることはないだろうし、あんまり歩き回らないだろうから足が痛くなることもないだろうし、この靴を履こうって決めてあった。
『今出るところ』
急いで送ると、すぐさま既読がついた。
『了解』
……また少し、心が浮く。
ばたんと音高く扉を開けると、音で気づいたらしい。
柵にもたれていたそうちゃんが、ゆっくり顔を上げてこちらを見た。
目が合ったので笑いかける。
「おはよう、佐藤くん」
「おはよう、佐藤さん。似合ってる」
「っ」


