名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

ご飯を食べて、お風呂に入って。

さあいよいよ連絡しよう、と決めて思わず髪を結んだ。


ポニーテールにすると、気合が入ったような、こう、なんでもできる気がしてくるのはわたしだけかな。


耳の延長線上の高い位置でほつれないように結んで、とっておきのシュシュをつける。

何か大事な用事のときに使うって決めている、レースがあしらわれた大人っぽい可愛いシュシュ。


なんでもないけどリップも塗ってみる。

ピンクに色がつく、派手すぎない色合いの、お気に入りのリップだ。


あとは、あとは。


無意識のうちに、がさごそ何かを探し始めた右手に、はっとする。


何を。何をしてるの、わたしは。

これ以上何をするの。


もう何も探さないように固く握った右手を、左手でぎゅっと覆う。


心臓がうるさい。妙に速い心拍が、どきどき耳元で騒音を立てている。


大丈夫、大丈夫だから。

これ以上は何もいらない。わたしの気合いが入れば充分でしょう。


だって、だって、わたしはただ、そうちゃんに連絡するだけなんだ。


会うわけでも、どこかに行くわけでもない。


……ああ、でも。うなる心臓は、いまだうるさいままで。


もっとおしゃれをしたいと望むのは、無駄で愚かな行動かもしれないけど、この馬鹿な衝動は、切ないくらいに愛しい想いのせいだ。


そうちゃん。


そうちゃん。


そうちゃんの、声が聞きたいよ。